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素晴らしい KPM の陶板画:タイトルは「セミ」 [KPM]

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KPM Plaque "La Cigale"

KPM の陶板画については今までいくつか取り上げましたが、先日もいつもの (株)創美 さんで素晴らしい作品に出会いました。

 


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非常に凝った造りの木製のフレームが合わせられています。



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肌の表現、そのなめらかなグラデーションと透明感は他では決して真似することができません。



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KPM は以前ご紹介しました作品の真珠のネックレスのような特殊な表現以外では白の顔料を使うことはありません。


最も白い部分は陶板の色を使って表現します。

 


この作品は女性が雪の中に立っているところを描いていますが、その雪は全て同じ様に描かれているわけではなく、薄い顔料を塗り重ねて色の違いによって遠近感を表現し、最も明るい雪を描いている部分は顔料が乗せられていません。



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さてこの作品を見て最初に不思議に思うのは、薄着の女性がなぜ雪の中にいるのだろうということです。


しかも雨や雪の中で使うことはないはずの楽器(マンドリン)を持っています。

 

 

教えていただいた作品名「雪の中たたずむ女性」を手掛かりに検索してみますと、幾つか同じ作品がヒットしました。

次の3つは海外のオークションサイトです。

Thomas Watson

 a girl holding a mandolin as the snow falls
 signed Weigel lower right
 inscribed in pencil verso La Cigale
 London 1896
 2013.11.19
 £480

 説明:雪空にマンドリンを持つ少女

 裏面に鉛筆で “La Cigale”

 表面右下に Weigel のサインあり

 

Cigale.jpg

 

 

Dreweatts & Bloomsbury Auctions


 a girl with a mandolin in a snow-storm
 inscribed in pencil La Cigale
 late 19th century
 2015.10.13
 £360

 説明:吹雪の中のマンドリンと少女

 裏面に鉛筆で "La Cigale"

 

Cigale2..jpg

 

裏面の写真を見ると同じものです。



三つ目のオークションサイトでは同じフレームがつけられたまさに同じ作品が出品され、落札されていました。
フレームの破損箇所も同じです。

liveauctioneers
TREASURESEEKER AUCTIONS LLC

 a young beauty with mandolin in a snowstorm
 signed Weigel
 inscribed in pencil "La Cigale"; La Cigale is a concert hall in Paris

 説明:吹雪の中のマンドリンを持つ美少女

 表面に Weigel のサインあり

 鉛筆で "La Cigale"

 

ここでは“La Cigale” はパリにある劇場の名前と説明されていますが、この作品との関連がいまひとつわかりません。



KPM の他の作品で LA Cigale と題されたものがありました。
こちらでも女性がマンドリンを持っています。



“La Cigale” を検索してみましたところ、フランス語で「蝉」であることがわかりました。
しかしこのモチーフがなぜ蝉なのかはやはりわかりません。


さらに探してみますと劇場の写真の他に次の画像が見つかりました。

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First exhibited at the Royal Academy in 1891. 
The subject for this picture was taken from 'The Grasshopper and the Ant' (The Fables of Jean De La Fontaine). 
イソップ物語(ラフォンテーヌの寓話)の「アリとキリギリス」を主題にしたものと説明されています。

「アリとキリギリス」に蝉が出てきただろうかと不思議に思って Wikipedia に当たってみますと、オリジナルのギリシャ語版では「アリとセミ」であったものが、セミに馴染みのない北部ヨーロッパに伝えられる過程でキリギリスに変えられたとあります。

この絵では衣服は身につけていませんが、やはりマンドリンを持っています。
夏に歌うのはキリギリスよりはセミですよね。
セミは服を着ていませんからそれをそのまま女性の姿に置き換えて、歌う道具としてわかりやすいように楽器を持たせたものと思われます。

イソップ物語の「セミ」なら、夏の姿で冬に立ちすくんでいる様子を描いたものと解釈できます。
女性とマンドリンが「セミ」を意味するという “お約束” があるのかもしれませんね。

The picture was also exhibited at the 1899 International Exhibition at Paris where it secured an Honourable Mention for Rae.
Reproduced in 'Henrietta Rae (Mrs. Ernest Normand)' by Arthur Fish, Cassell and Company, 1905.



調べてみるといろいろわかってきます。
画の見え方も変わってきますね。





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