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人と豹、人と歌 [本]

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先日ネットのニュースでこの本が紹介されていたのを読み、その日の帰りに書店に立ち寄って購入し、もう読み終わりました。

 

内容は「南国土佐を後にして」の誕生と当時の日本陸軍、日本陸軍と豹の「ハチ」、豹のハチと舞踊家 宮操子、上野動物園、「南国土佐を後にして」とペギー葉山、ペギー葉山と「ドレミの歌」などの関連の中で綴られる縁(えにし)の物語です。

 

「南国土佐を後にして」は作者不詳の自然発生的な歌であったことはこの本で知りました。

土佐出身者で構成された日本陸軍 支那派遣軍 第四十師団 歩兵第二百三十六連隊(通称「鯨」。通称はコードネームのようなもの。土佐は鯨漁が盛んであったことから)の中で「南国土佐を後にして」の原型ともいうべき歌が歌われていたそうです。

 

のちにペギー葉山さんが歌った曲とは歌詞や節回しが異なっているそうですが、望郷の歌なので公式の「軍歌」ではなく軟弱なものとして軍務の中でおおっぴらに歌われることはなかったそうですが、誰もが知っていて慰安会などではみんな歌ったそうです。

 

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鯨部隊の第二大隊の第八中隊 第三小隊中国湖北省陽新県白砂舗に「警備」(攻略した土地に止まること)していた時に地元の住民から大きな豹を退治してほしいと言われたのを成岡(なるおか)小隊長が請け負います。

軍務ではないので希望者を募り、イノシシ狩りの名人など三名を選んで豹狩りに行きますが、巣と思われるところを焼き討ちしますと大きな豹は現れず、生まれて間もないと思われる子供が二匹残されていました。

 

一匹は北京の動物園が引き取りましたが、火傷をしていた一匹は隊で育てることにし、子猫にしか見えないその赤ちゃんは皆に可愛がられながら育ちます。

ミルクはないので食べ物を噛んで柔らかくしたものを口移しで与えたそうです。

 

そんな中、舞踊家の 宮 操子 さんの一団が慰問にやって来ます。

宮さんは舞台が終わるとマラリアで倒れてしまいますが、「ハチ子」(第”八”中隊、から命名。のちにオスとわかって「八紘【ハチ公】。”八紘一宇”から」と変えられます。通称ハチ)に慰められて回復します。

 

 

渋谷のハチ公は昭和10年に死んでいますが、「ハチ」の命名にはそのハチ公のこともちょっとあったかもしれません。

 

 

さて部隊が「警備」を後の部隊に任せて移動することになった時、困ったのは「ハチ」の扱いです。

まさか連れて任務を遂行するわけには行きません。

国内のあちこちの動物園に依頼しますが、どこも食糧難を理由に断ります。

結局あの宮さんを伝として上野動物園に引き取ってもらえることになります。

 

これが前半の主な内容です。

 

 

後半は「南国土佐を後にして」とペギー葉山さんです。

伝承のような歌だったこの歌は節回しも歌詞も一定ではなかったのですが、音大出身ではないが音楽への夢を捨てきれない 武政 栄策 さんという方がしっかりとした歌唱ができた人の演奏を聴き取り、楽譜を完成させます。

これはのちにラジオで放送され、大きな反響を呼びます。

 

四月にお亡くなりにったペギー葉山さんの生い立ちについては省略しますが、NHK 高知支局の TV放送開始の番組の中で歌う写真や「スター千一夜」での写真を見ると、よく知られた姿とは同じ人とは思えないほどの美少女で驚きました。

 

ジャズ志向で英語の歌も歌っていたペギーさんは持ちかけられた「南国土佐を後にして」(鈴木 三重子 さんによる民謡調のレコード)を歌うことを固辞しますが、こちらも声楽家の夢を抱いたこともある 妻城 良夫 プロデューサー(声楽家の道を断念する件は胸に迫るものがあります)が執念を持って説得し、開局記念番組で歌うことを(騙し討ちのようにして)了承させます。

それにあたっては “男歌” だった歌詞を現在知られている歌詞に変えます。

ある歌をどの歌手に歌わせるかを決める、その見抜く力がプロデューサーの才能だそうです。

 

放送終了後のアトラクションで歌うということで了承したペギーさんは本番に組み込まれていることを現場で知って当惑しますが、プロとして歌を披露します。

歌い始めるとシーンとしてしまったので「やっぱりだめか」と思ったそうですが、よさこい節の部分に差し掛かると会場は大興奮で、最初は皆心打たれて聴き入っていたのだということを知ります。

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さて前半の内容で胸を打つのは「ハチ」の運命です。

昭和18年、空襲などに備えて猛獣殺処分の命令が東京都から下されます。

 

天真爛漫で陸軍の軍服を着た人が来ると檻にすり寄って甘えたハチ。

いまの天皇陛下も8歳の時にご覧になったハチ。

他の動物が警戒して口にしない毒入りの餌を疑うこともなく食べたハチ。

 

成岡さんが休暇で帰京した時、電報でハチのことを訊ねたのは事が終わった一週間後のことでした。

 

いま、ハチは剥製となって高知市の子ども科学図書館で展示されているそうです。

 
明日の朝の更新はやはりお天気次第です。

 

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『新版 動的平衡』 [本]

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昨日の夕方はこんな空でしたが、今は雲が飛んでいます。

台風が心配です。

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さて今日の新聞の夕刊に青い菊ができたと報じられていました。

青いバラと同じくサントリーのテクノロジーによるもののようです。

 

そこで思い出すのは先日読んだ福岡伸一さんの本です。

 

最相葉月さんの青いバラについてのノンフィクションにも触れられていますが、同じ最小さんの星新一についての著作にも触れられていてとても興味深い内容です。

 

新版 動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか 福岡伸一
小学館新書 2017年6月5日 初版第一刷
「青い薔薇」──はしがきにかえて(抜粋)
   赤い薔薇を、ツユクサのような鮮やかな青に変身させたい。
   ハカセは根気よくこの作業を一歩一歩進めていった。
   花は鮮やかな青色に輝いていた。
   ハカセは気がつかなかったが、その花はどこから見てもツユクサそのものだった。
P.141
   最相葉月さんの『あのころの未来』(新潮社)が文庫化される際、解説を書かせていただいたことがある。この本は星新一のショート・ショートを現代の視点から読み直し、何らかの教訓を得ようという興味深い試みである。
(中略)
それを羨んだ友人の植物博士がブドウとメロンを掛け合わせて、ブロンの作出をめざした。メロンのように大きくてみずみずしい実がブドウのように沢山なる果物である。しかし、できたのはブドウのように小さな実がメロンのようにわずかしかならない植物だった……
ここで連想するのはバーナード・ショーにまつわる逸話です。
ジョージ・バーナード・ショー(George Bernard Shaw, 1856年7月26日 - 1950年11月2日)
逸話
ある時、イサドラ・ダンカン(Isadora Duncan, 1877年5月26日- 1927年9月14日)はショーに結婚を申し込み、こう言った。
「あなたの頭脳と私の肉体を持った子供が生まれたらどんなにすばらしい事でしょう」
しかしショーはこう答えて拒絶した。
「私の肉体とあなたの頭脳を持った子供が生まれたら大変ですよ」
これは遺伝学・人類学の入門書や雑文などで時おり引用される逸話である。バーナード・ショーが皮肉屋として知られていたのは確かであるが、相手はダンカンではなくサラ・ベルナールSarah Bernhardt, 18441022? – 1923326日)とも伝わっており、真偽のほどは不明である。都市伝説の可能性もある。
(Wikipedia より)
結婚を申し込むのが『ピグマリオン』で主役を務めたパトリック・キャンベルMrs Patrick Campbell (9 February 1865 – 9 April 1940)になっている場合もあります

* 『ピグマリオン』(Pygmalion)(1913年初演)ガブリエル・パスカルによって1938年に映画化され、ショーはアカデミー脚色賞を受賞した。また、アラン・J・ラーナーによってミュージカル化され、『マイ・フェア・レディ』としてブロードウェーで大ヒットしたことは良く知られている。

(Wikipedia より)

P.144
   青い色素を作り出す酵素を移し変えただけでは、植物は "思ったほど" には青くならなかったのである。
(中略)
   青い色素を安定して存在させるための細胞内環境、もともと青い花を咲かせない植物に備わっている色素合成経路からの干渉の排除、さまざまな要因が、青くない花を青くするためには必要であることが次々とわかっていく。

 

星新一が作品で同じようなことを言っているわけですが、バーナード・ショーが亡くなったのが1950年(昭和25年)ですので、その逸話が下敷きになっている可能性もないとは言えません。
 星 新一(本名:星 親一、1926年(大正15年)9月6日 - 1997年(平成9年)12月30日
 気まぐれロボット(1966年(昭和41年))のちに『きまぐれロボット』に改題。
 (Wikipedia より)
そのほか記憶のメカニズムやなぜ歳をとると時間の経過が速くなるのか、医学や新発見や新しい見方や考え方について森鴎外や北里柴三郎のエピソードも交えながら今では当たり前となっている事柄について当時の "権威" がどのようにそれを扱ったかなども述べられていて、非常に興味深い内容になっています。
単行本は二冊目が刊行されているようですので、読んでみようかと思っています。

 

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音楽家の死因 [本]

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以前歴史上の人物の死因を推測した本を取り上げたことがありますが、先日手にしたのは音楽家の死因を取り上げた本です。

 

モーツァルトもちろん取り上げられていて “モーツァルト耳” にも触れられていますが、なかなか見ることができないその図解が掲載されています。(無断では転載できないのでここではぼかしを入れています)

 

興味深いのは、モーツァルトが雇い主を見つけられなかった理由について、映画では「若い女性に近づけるのは . . .」と言われていたのですが実際は小柄であったこととその容貌がパッとしなかったからと述べられている点です。

有名なランゲによる肖像画はかなり美化されているようです。

 

2006年の「熱狂の日」に新発見の肖像画が展示されていましたが、それまでのイメージとかなり違ったなという印象がありました。

 



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今パガニーニのところを読んでいますが、ベートーヴェンは有名な難聴だけでなく主として飲みすぎによる様々な症状がかなりベートーヴェンを苦しめたようです。

ベートーヴェンの母親の実家がワイナリーであることは以前取り上げました。

 

 

パガニーニは確かに悪魔と言われるほどの天才演奏家で、残した曲の中には当時はパガニーニでなくては演奏不可能だったようなものもあります。

しかしベートーヴェンと同じように健康問題には長く苦しめられたようで、それらの中には誤った治療によるものが相当あったとのことで、そうでなければどれだけ演奏と作曲で活躍できたろうかと思うと残念な思いです。

 

本文中で述べられるその疾患の様子は悲惨なもので、もし同じような苦しみとセットなら演奏の才能を与えると言われてもお断りというほかありません。

 




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図版も豊富で、写真が残っている演奏家では確かにリストはご婦人方が失神したかもしれないと思えるほど整っています。

 

 

シューベルトやシューマンも相当悲惨であったろうと今から想像しています。

 



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以前取り上げた本より読み応えがあります。

ここで取り上げられている音楽家に興味がある方にはお勧めできます。




音楽と病〈改装版〉: 病歴にみる大作曲家の姿 (HUPセレクション)

音楽と病〈改装版〉: 病歴にみる大作曲家の姿 (HUPセレクション)


 

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私家版:ハチ公文献集 [本]

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去年の二月、東大農学部キャンパスにハチ公と上野博士の像を見に行きました。

 

 

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これらは以前掲載したものの再掲です。

 

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それ以来以前よりハチ公に対する関心が高まりました。

国立科学博物館にハチ公の剥製を見に行ったり書籍を買ったりしているうちにもっと深く知りたくなったのですが、なかなか良い資料はありません。

 



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いろいろ調べているうちにまとまった資料集が書籍として自費出版されていることを知りました。




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立派な装丁です。

何部作られたのかわかりませんが、相当な費用がかかったでしょう。

ハチに対する思いが凝縮されています。

 

その情熱に頭が下がります。

 



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出版されたのは 1991年です。

このほか「渋谷駅100年史 忠犬ハチ公50年」という書籍が 弘済出版社から 1985年に出版されています。


 

この資料集の内容は目次をご覧いただきたいのですが、昨年の銅像以前に同じようなことが考えられたことがあったという内容がありましたので一部をご紹介します。


P.351 
第七章 ハチ公のほんとうの気持
上野博士と五十九年ぶり銅像同士の対面
 昭和五十九年四月七日の『毎日新聞』
 『ハチ公』と『ご主人』
 銅像ご対面
「えっ、ハチ公が待っていたのはこの先生なの」と知った同学科(管理人注:東大農学部農業工学科)の学生たちが「それじゃ会わせてやろうよ」と、教室の廊下でホコリをかぶっていた銅像をハチ公まつりの開かれる八日、渋谷まで運び、銅像同士ご対面。
   上野博士は大正十四年五月二十一日、大学内で急逝した。博士が可愛がっていた秋田犬のハチ公が、その後十年近く、渋谷駅頭で主人の帰りを待つ姿が新聞に報道され、「忠犬ハチ公」として一躍美談のスターに。昭和九年四月には募金で銅像が建った。
   戦後「ハチ公は主人を待っていたのではなく、焼き鳥やおでん屋の残飯が欲しくて来ていた」などという異論が出て論争を生んだこともあったが、渋谷駅に事務局を置くハチ公銅像維持会が毎年、四月八日にハチ公まつりを主催してきた。
P.354
   大学の備品となった銅像。だれが作り、いつから大学にあるのか、教官や古い職員もわからない、という上野博士の銅像は、門下生であった牧隆泰編『農業土木学の始祖・上野英三郎博士の足跡・生誕百年を記念して』農業土木学会 によると、上野博士の遺徳を後世に伝えるために記念事業の一つとしてつくられた。




この本は非売品ですが、出版当時各地の図書館に寄贈されたようです。

今検索してみると次の場所にあると出ます。

閲覧できるかどうかはわかりません。

自費出版なので国会図書館には収められていないのかもしれません。


 国立科学博物館書庫

 東京大学 農学生命科学図書館図

 東京大学 農学生命科学図書館講座

 奈良県立図書情報館一般

 藤女子大学 図書館本館

 横浜市立大学 学術情報センター

 



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こちらは以前撮った渋谷のハチ公像です。

 

また会いに行ってみましょうか。





 

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「最強の地域医療」 [本]

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先月29日の日経新聞「春秋」でこの本のことが取り上げられていました。

 

http://www.nikkei.com/article/DGXKZO16990580Z20C17A5MM8000/

 

 

薬剤師の資格を取られてから思うところあって医学部に入り直し、32歳で医師の資格を取られたという経歴の持ち主です。

 

 入院してみて、病室での生活がいかに患者の体力や精神力を奪うか身にしみたという。

 

という文章に興味をもって読み始めてみましたが、確かにそういうことも取り上げられていますが、この本で言いたかったことは書名通りで、財政再建団体になってしまった夕張市で感じたこと、やって来たことを通じて今の医療特に地域医療や健康保険、そして患者の取扱というものの問題点を提示し、どうすれば良いのかということが述べられています。

 

たまたま4月から5月にかけて生まれて初めての入院と手術を経験した後だったので手にしてみました。




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P.64 

 専門的な医療は都市部に集中的に配置して、地方では予防やケアと連携して支える医療機関にしていくべきです。日本の医療は優秀なので十分に対応していけると思いますし、24時間体制や常勤にこだわらなければ十分に医師の派遣ができると思います。

 例えば循環器の心臓カテーテルの上手い先生が3人いるとします。

 今の発想では3人の先生方を3か所の病院に派遣して「3か所の医療機関の循環器の医師を充実させた」と言っていますが、本当はこの3人の先生を都市部の1か所に集めて24時間体制で稼働させてでも医師たちが交替で休みをとれるようにすることのほうが大切です。

 

治療を受けている病院でも大学病院は専門的な高度な医療を行い、地域の病院でできることは地域に任せる、という意味のことがディスプレイに流れますが、まさにこういうことを言っているのでしょう。



例えば食事についてみると入院生活では想像したような食事ではなくよく考えられた美味しいものと感じたのですが、これは病院が大学病院だったからだったのかもしれないと思えます。

 

 

P.45

 私は今までの病院より、むしろ大学病院のほうが高度で専門的な医療に特化していて、ケアが二の次になっているイメージで、生活面での待遇やケアは以前より悪くなると覚悟していました。

 しかし大学病院はお世辞抜きで、今まで経験してきた中では看護師さんたちの接遇や手技は一番良かったと思いましたし、目配りや気配りが利いていてプロの仕事だと感じました。


 

 



最強の地域医療 (ベスト新書)

最強の地域医療 (ベスト新書)

  • 作者: 村上 智彦
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2017/04/08
  • メディア: 新書

 

P.129

 ある本の中で「今までの医師は死を敗北とする技術職であったが、これからは死を必然と認めて天寿を全うさせるサービス職となること」と表現されていますがその通りだと思います。

 


この本が出版されたのは今年4月20日ですが、著者の村上さんは5月11日にお亡くなりになったそうです。



医療にたかるな (新潮新書)

医療にたかるな (新潮新書)

  • 作者: 村上 智彦
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/03/01
  • メディア: 単行本

村上スキーム―地域医療再生の方程式 夕張/医療/教育 (HS/エイチエス)

村上スキーム―地域医療再生の方程式 夕張/医療/教育 (HS/エイチエス)

  • 作者: 村上 智彦
  • 出版社/メーカー: エイチエス
  • 発売日: 2010/06/29
  • メディア: 単行本

白血病から仲間の元へ

白血病から仲間の元へ

  • 出版社/メーカー: ものがたりくらぶ出版
  • 発売日: 2016/06/29
  • メディア: Kindle版

白血病闘病中: 村上智彦闘病記

白血病闘病中: 村上智彦闘病記

  • 出版社/メーカー: ものがたりくらぶ出版
  • 発売日: 2016/03/28
  • メディア: Kindle版

 

医師もそうでない人も永遠に生きることはできない。

 

いざとなったら治療を望むのか望まないのか、それはそれまでの人生がどうであったかによるのかもしれません。

 




 

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夫人と婦人:「ツバキ文具店」 [本]

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4月に始まったNHKドラマが気に入ったので原作を買ってみました。

この作家さんの作品を読むのは初めてですが、『食堂かたつむり』の作者ですね。

『食堂かたつむり』は評判になった作品ですが、Amazon のコメントでは毀誉褒貶相半ばすると言いますかネガティブな意見が多いようですが、こちらの作品は評価が高いです。

こういう作品が書けるのであればけなされている作品もなんらかの意図があって書かれていると考えた方が良いでしょう。

ところでドラマを見ている時は特に意識に引っ掛からなかったのですが、 “バーバラふじん” という人物が登場します。

ドラマでは江波杏子さんが演じていますが、 “ふじん” は “夫人” だと思っていました。

ところが本を開いてみると “婦人” と表記されています。

NHK の HP でもそう表記されています。 

http://www.nhk.or.jp/drama10/tsubaki/

“婦人” は「婦人画報」「婦人公論」や婦人服、婦人科、貴婦人、婦女子など女性(どちらかといえばある程度の年齢以上の)を意味しますが、”夫人” ですと夫のいる、或いはいた女性となります。

歴史の登場人物や文学や音楽の作品でも

 ポンパドゥール夫人

 蝶々夫人

 真珠夫人

 ボヴァリー夫人

 チャタレイ夫人の恋人

 武蔵野夫人

“夫人” はよく登場しますが、“婦人” はちょっと見当たりません。

 

「ツバキ文具店」では “バーバラ婦人” はちょっと謎めいた隣人ですが、 “婦人” を使ったのは作者にはっきりとした意図があるからでしょう。

 

主演の多部未華子さんは先日放送されたミュシャを取り上げた番組でも出演されていましたが、何年か前の「鹿男あをによし」での印象が強く残っています。

 

 

放送が全部終わってから、次の入院の時にでも読んでみようと覆います。









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クラシックカメラ好きに [本]

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入院生活に慣れて来て時間の過ごし方も要領がわかって少し余裕ができたので、新聞を買うついでに読みやすそうな文庫本を二冊買ってみました。
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読んだことのない作家さんですが、クラシックカメラが登場するというので興味を持ちました。
一日一冊のペースで、もう読み終わりました。
深みを求めるような小説ではありませんが、クラシックカメラが好きな人には楽しめる内容です。
名前だけ登場するものを含めて一覧にしてみます。
谷中レトロカメラ店の謎日和 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

谷中レトロカメラ店の謎日和 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 柊 サナカ
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2015/09/04
  • メディア: 文庫

『谷中レトロカメラ店の謎日和』
    1. ドリウ2-16、コダック シグネット35、ビトーB、コンタックスIIa、イコンタ・ユニバーサルシックス、
        ローライフレックス
    2. ベッサII、ピクニー(宮川製作所)
    3. ハリネズミカメラ
    この章では野良猫の里親探しの活動をされている方や blog が登場します。
    4. リコーオートハーフ、ポラロイドSX70
    5. ニコンF(640F)
    6. ステレオグラフィック、ローライドスコープ、ゼンザブロニカS2
    7. ライカIIIf
谷中レトロカメラ店の謎日和 フィルム、時を止める魔法 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

谷中レトロカメラ店の謎日和 フィルム、時を止める魔法 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 柊 サナカ
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2016/10/06
  • メディア: 文庫
『谷中レトロカメラ店の謎日和 フィルム、時を止める魔法
    1. ニコンF2 チタン ノーネーム,ニッコール50mm、ニコマート, ニッコール24mm、ニコンS3
    2. ヤルーフレックス、ライカM3 オリーブ, スリークラウン, IIIc
    3. プラウベルマキナ67、小西本店 木製プロトタイプ(?)
    4. コンタックスIIa
    5. エコー8(鈴木光学)、ミノックス、フォトスナイパー、シグマ200-500mm F2.8
    6. テレカ(東興写真)、ラメラ(興和光器製作所):ペンタックスLX
    7. ツァイスイコンSW, T*21mm 
使ったことのあるカメラは一つもありませんが、ロマンスもあって、楽しめる内容になっています。
わたしが初めて使ったのはオリンパス PEN で、初めての一眼が オリンパス OM1、憧れて買ったのが ニコンF3 でした。
F3 はハイアイポイントが出る前でしたが、シャッターの切れる感触に惚れてしまいました。
また使ってみようかななどと思い始めています。






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お茶と読書 [本]

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若い頃は読書が一番の楽しみでしたが、このところ読書量も落ち着いて CD を聴くことも少なくなってしまいました。

 

本を買う時は Amazon を利用することが多いので書店に立ち寄ることがめっきり少なくなったのですが、先日は読むものが欲しかったので道路沿いにある書店に入ってみました。

 

賞を取ったものをすぐ買って読むことはほとんどないのですが、今回は題材が音楽コンクールだったので興味を持ちました。

第156回直木三十五賞『蜜蜂と遠雷』。



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軽食とお茶をいただきながら本を読むのは幸せな時間です。



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コーヒーにはうるさいのでなかなか満足するものには出会えないのですが、DOUTOR のはあれこれ考えずに飲むことができるのでこのところ利用することが増えました。



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こちらはモスバーガー。

特に気に入っているわけではないのですが、最近多くなったエスプレッソは好みではないのでドリップコーヒーを出してくれるところを選びます。



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蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷






まだ読んでいないのですが、一緒に買った医療ミステリーの方が薄かったので先に読み始め、今日読み終わったので明日からこれを読むことにします。


羊と鋼の森

羊と鋼の森

  • 作者: 宮下 奈都
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/09/11
  • メディア: 単行本

2016年の本屋大賞『羊と鋼の森』も調律を扱っているので読んでみたいです。







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シーボルトとお瀧さん [本]

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吉村 昭 さんの小説は以前読み終えたのですが、先日国立科学博物館でシーボルト展を見た後ミュージアムショップに立ち寄ると、書籍コーナーに「ひどらんげあ おたくさ」という本があるのが目に入りました。


高田さんというお名前は存じあげなかったのですが、脚本家として実績のある方のようです。



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先日読み終わったのですが、ずいぶん違うものだなというのが一番の印象です。

 

吉村さんの方はお瀧さんとシーボルトとの関わりに始まり、孫である 高 までの物語が綴られていて子の 伊禰 の物語にも大きなスペースが割かれています。

 

高田さんの方はシーボルトとの別れまでで、最後の方で再来日の様子が描かれています。


 

違いはそれだけではなく、お瀧さんが遊女になった年齢、その理由、家族構成、シーボルトとの結びつきにまつわるエピソード、などなど細かい部分でかなりの違いがあります。

 


史実は変えることはできないでしょうが、会話の内容や登場人物が思ったことなどは作家の想像力の産物でしょうから違いがあって当然ですが、例えば拝領の羽織が贈られるに至った経緯など、ずいぶん違った印象を受けます。



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シーボルトが国外追放になって船で帰国する様子など全然違います。


が、吉村 さんの作品では描かれないエピソードが 高田 さんの作品にはあって、一番興味深いのはオオサンショウウオにまつわるものです。


二匹のオオサンショウウオが捕獲されて夫婦とされて生きたままオランダ行きの船に乗せられたのはシーボルト展での説明と符合します。

一匹は途中で共食いで食われてしまい、オランダに届いたのは一匹だけだったそうですが、60年も生きて人気を集めたというのも符合します。

 

読み比べると小説としては 吉村 さんの作品の方がしっかりとした小説という印象で、高田さんの作品はどちらかといえば歴史を素材にした読み物という印象です。


しかし高田さんの作品がフィクションの部分が多いとも言い切れないのです。


そのほか吉村さんが
 メーストル(外科医)
としているところを高田さんは
 メイストル(師)
とするなど訳語にも少々違いがあります。

またお滝さんの源氏名が吉村作品では始めの頃は 其扇(そのおおぎ)としていたものが シーボルトが ソノギ と呼ぶのに合わせたのか途中から そのぎ と表記されているのに対し高田作品では最初から其扇(そのぎ)としています。


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翻訳ソフト長崎方言への)を使用して長崎弁を話す人にもチェックしてもらったという会話は味わいがあります。


一度読んでみるもの無駄ではありません。

 

昔当時大変人気のあった脚本家(Uさんとしておきます)の小説を読んでみて後悔したことがあります。

情景や心情描写がお粗末極まりなく、なるほどドラマというものは俳優が演じて完成するのだからそれらのニュアンスは俳優が作り上げるのであって、脚本というものは誤解を恐れずにいうならば半完成品なのだなと納得し、それ以来脚本家の書く小説というものは読む価値がないのだと思っていました。

向田邦子さんはやはり別格なのだなと。

 

 

しかし今回この作品を読んでみて、これならまあいいかと思えました。

 

吉村作品に描かれる "シーボルト事件" に関わった人物たちの断罪の様子は凄まじく、高田作品ではその点はあっさりしていて物足りない思いが残ります。



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シーボルトが実際にどういう記録を残しているのか知りたくなったので、この本を買ってみました。


 

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江戸参府の際の記録ですが、シーボルトの残したものは大変興味深いです。

 


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これから読んでみることにします。





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川原慶賀の原画と楠本イネ、高子などの写真 [本]

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今日の日経新聞最終面にシーボルトの「フローラ・ヤポニカ」の原画を描いた川原慶賀の画集が紹介されていました。

川原慶賀の「日本」画帳《シーボルトの絵師が描く歳時記》

川原慶賀の「日本」画帳《シーボルトの絵師が描く歳時記》




Amazon を探すと、「シーボルト展」で展示されていたような人物画を集めた本もあります。

江戸時代 人物画帳 シーボルトのお抱え絵師・川原慶賀が描いた庶民の姿

江戸時代 人物画帳 シーボルトのお抱え絵師・川原慶賀が描いた庶民の姿

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2016/09/07
  • メディア: 単行本


「フローラ・ヤポニカ」の原画集まで出版されています。


シーボルト日本植物図譜コレクション(DVD付)

シーボルト日本植物図譜コレクション(DVD付)

  • 作者: T.A.チェルナーヤ
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2008/06/28
  • メディア: 単行本

川原慶賀の力量を知るには格好の資料です。




レンズが撮らえた幕末明治の女たち

レンズが撮らえた幕末明治の女たち

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 山川出版社
  • 発売日: 2012/03
  • メディア: 単行本





さて絵画だけでなく、シーボルトの子孫の写真が掲載されている本がありました。

幕末・明治の美人や当時の写真家の作品などが収録されています。

 

シーボルトとお滝さんの娘、イネ(のちの楠本伊篤。かなり高齢)、その娘高と夫三瀬修造(諸淵)の写真も収録されています。

 

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写真の著作権は切れているはずですので、転載します。

 

 

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そのほか歴史上の人物では新島八重と襄、高杉晋作、木戸孝允、徳川慶喜、渋沢栄一等々とその家族たちが収録されています。

坂本龍馬も見慣れたポーズでない写真が掲載されています。

樋口一葉、与謝野晶子、平塚らいてうの写真もあります。

 

当時の風俗も記録されていますが、この本のメインは当時の美人たち。

"東京百美人" として、美人コンテストの入賞者たちが紹介されています。

どんな美人が写っているのかは実際に中をご覧いただきたいと思います。


表紙を飾るのは陸奥宗光の奥さん、陸奥亮子さん。

正面からの写真も中に収録されています。

 

外国人写真家が写した日本、当時の名のある写真家が写した女性たちも収録されています。

高子さんや玉村康三郎という写真家の写した芸妓などは今でも美人として通用する容貌ですね。



写真の技術の変遷も見ることができて大変興味深いです。


明日は母の通院の日なので朝の更新はお休みします。

【中古】シーボルト日本植物図譜コレクション(DVD付)